日本学術会議第25 期新規会員任命に関する声明
内閣総理大臣は,日本学術会議が第25 期新規会員候補として推薦した6名を任命せず,さらに,その理由についても説明を拒否している。
学術研究は,特定の政治的権力から独立し,それぞれの専門分野において認められた適切な方法によって研究知見を獲得し蓄積することを通して,社会全体に貢献するものである。政治的権力からの独立性は,学術研究の要である。学会は,学術研究を推進する専門家の団体であり,当該分野の研究成果ならびに社会的貢献について専門的見地から評価を行う役割を担っている。
今回の政府の対応は,人文・社会科学,生命科学,理学・工学にわたる多数の学会を協力学術研究団体とし,優れた研究又は業績がある科学者によって構成されている日本学術会議が推薦した会員候補者を,具体的な理由を説明することなく会員として任命しないとするものである。
日本教育経営学会は,教育経営の研究と実践を促進し,その普及を図ることを目的としている。教育は未来の人間,社会,自然の在り様に関わる営みである。教育の組織化と社会的統治及びマネジメントの在り方を主たる研究対象としている本学会は,特定の政治的権力からの独立性のもと,学術研究の内在的規範によって研究活動を推進することが不可欠であり,またそれによって社会に対して独自の貢献を行おうとしている。
本学会は,現時点で知りうる情報をもとに検討した結果,今回の事態が今後の学術研究に及ぼす影響を深く憂慮し,ここに政府に対して次の対応を求めるものである。
- 日本学術会議が去る8月31 日付で推薦した会員候補者のうち,任命されていない6名の方について,任命見送りになった経緯と根拠を明らかにすること。
- 上記6名の方の任命見送りを撤回して,すみやかに任命すること。
2020 年10 月22日
日本教育経営学会