会長からのご挨拶

会長挨拶

2024年10月 日本教育経営学会会長 元兼 正浩

日本教育経営学会のホームページへようこそ。第17 代の会長を拝命した九州大学の元兼正浩です。「目的と沿革」にありますように、本学会の始まりは、1958年とされ、教育関連学会連絡協議会加盟学会の中でも比較的早く創設された学術団体です。設立当時は1956年の地教行法制定に伴う公教育体制の変化や高度経済成長に連動する教育経営環境の変動などが意識されたということですが、現在はまた違う形で公教育体制の変化や教育経営環境の変動が進んでおり、私たちは改めて教育学研究の研究領域として「教育経営学」の必要性と可能性を切り拓くことを強く意識したいと思います。私は会長就任にあたって、学会活動の推進の方向性として以下の3つの思いを会員にお伝えしました。

第1は、教育経営学の裾野の拡大と固有の方法論の追究との両立です。その対象領域の広さは教育経営学の魅力でもあり弱みでもあることをふまえ、学校経営学ではなく教育経営学であることの意味、守備範囲の広さを最大限に生かせるよう領域の外縁まで充実・拡張するとともに、組織拡大を図っていくことを表明しました。と同時に、総会の就任挨拶で高野桂一先生の「教育経営学、学校経営学の対象領域は一見して広く見える。だからこの学会には教科の研究家も実践家も、教育行政研究家も皆加入できるという特徴を持っている。しかしだからと言って、そのままで当学会の研究者ではない。やはりそれに関わる「経営」研究の方法や成果は改めて特別に努力し、獲得しなければならない課題なのである。」という言葉を引用させていただきました。たとえ教育経営学をメインとしない会員であっても、それを意識した研究アプローチを考えていただけるよう教育経営学のプレゼンスを不断に確認していきたいと思います。

第2 は、「実践の学としての教育経営学」の構築に向けた論争や学説の活性化です。実践と理論を腑分けせず、むしろ一体のものとして捉えていくために、教育空間において創出する教育経営現象を様々な角度から捉え、これに言葉を与えていく際に起きる概念定義をめぐる対立などを大事に学会の財産としていけたらと思います。学会創設以来60 有余年の間にどのような学説や論争が展開してきたのか、我々はそうした先人たちの議論の延長線上にいることを踏まえ、共通の土俵に立って、議論を積み重ねていけることを願っています。幸い、学会紀要も過去に遡ってアクセス可能ですし、周年記念行事で講座本が多く編まれてきており、そうしたことを前提にしながらも、この先行き不透明な社会環境の変化を踏まえた新たな論争が起き、学会が活性化することを願っています。

第3 は、国際化/グローバル化への対応です。前会長の方針で関係連携機関として英国教育経営学会(BELMAS)との関係作りに着手されましたが、これを積極的に継承し、本学会がカウンターパートとして認識されるような取組に挑戦できればと考えます。もちろんBELMAS だけでなく国際学会での研究発表や学術交流に若手が挑戦していけるような下地作りや研究支援を引き続き進めていき、学会の将来に繋げていきたいと願っています。その意味でこの課題は次世代育成かもしれません。学会だけでなく学界、教育界、さらにはこの社会の未来を見据えた取組を考えていきたいと思います。

課題は国際化以外にも山積しています。ヒト(man)・モノ(material)・カネ(money)の経営資源が限られている本学会でそうした諸課題にどこまで応えうるのか難題ですが、4番目のM であるmanagementを専門とする学会ですので、保有する資源を最大限活かし、一人ではできない夢をともに少しでも叶えていけたらと思います。皆様のご理解、ご協力により微力ながら学会の充実・発展に努めたいと考えております。一緒に「教育経営学」を切り拓いていきましょう。  

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